1階+2階=約38坪の住宅です。
土地面積は約98坪です。

トモイさんとの家づくりは、土地探しからご一緒させて頂きました。以下、ダイジェストです。
当初は、3つの候補土地の現地をトモイさんご夫婦と共に見に行きました。そして、その中から1つの土地を候補土地として仮選定しました(後述する、実現に至った土地とは別の土地です)
次いで、その候補土地に根差した企画案の検討を始めました。この頃、4つの企画案(間取り図)とその微修正案を描きつつ、トモイさんと共に家づくり会議を幾度と重ねました。様々なお話を重ねた中で、特に大事なポイントが浮き彫りになってきました。
「どうやらこの候補地の場合、トモイさんが当初から希望している“中庭のある暮らし像”が、合理的にフィットする土地ではなさそうですね。」「どうやら、そのようですねぇ」「はい。こうして4つの企画案を比較検証してみると、中庭案以外のプランの方が随分と合理的にフィットするようですね。中庭にすると駐車場の位置など何だか微妙ですよね」「確かに確かに!」…というような家づくり会議がトモイさんとの間で進行・共有していきました。
そんな矢先、新しい候補土地の不動産情報が入りました。追々、結果的に実現に至った土地です。北と南に道路、東と西には隣家が立ち並ぶ住宅予定地。そのような特徴の土地です。

今度は、この新しい候補土地に根差した企画案にトライすることになりました。
企画案を練って、検証して、引き続いてトモイさんと家づくり会議。

...その結果、上手く行きました。

今度こそは、「中庭のある家」の構成が合理的にフィットする土地である手応えを掴むことができました。
そもそも、結果的に実現に至ったトモイさんのこの土地の特性を大局的にピックアップすると…まず第一に、トモイさんの土地と、その東西両方向隣地に建つ隣家の距離はかなり近接することが予想されました。また第二に、南側には2車線道路がありました。従って、もしもトモイさんの家の南側壁面に大きな窓を並べると、それらの大きな窓は南側道路や東西隣家から覗かれやすい。この土地にはこのような隣接環境上の見逃せない特性がありました。
そこで、だからこそ、この土地には「中庭のある家」の空間構成が活きてきます。(トモイさんはこの時を予感して、当初から「中庭」を希望していたのでしょうか、と思うほどです)

土地のほぼ中央に中庭を配置して、その中庭の東側(LDK等)と西側(寝室等)にそれぞれ居室をレイアウトする家。そして、それら東西両居室を玄関ホール・廊下という移動動線が橋渡しする家、これがトモイさんの家の実施案です。
LDK、寝室、玄関ホールにはそれぞれ大きな窓が設けられていますが、それら大きな窓は全て中庭に面しています。ですので、東西隣家や南側道路から覗かれにくい「大きいのに、落ち着きある窓辺」をもつ家となりました。カーテンを開け放つと、中庭越しに「こちらの部屋」から「あちらの部屋」へと視線が通り抜け、「自身の家の部屋にいながら、中庭を介して、自身の家の別の部屋が見える」という独特で心地よい住環境を日常的に経験できます。
また、この家は、子供部屋とライブラリ以外の部屋は全て1階にレイアウトされており、仮に老後等の夫婦2人暮らしを想定すると平屋暮らしができる設えとなっています。LDK(共有空間)と寝室(プライベート空間)が中庭を介在して程よく距離を保っています。そうすることで、平屋的な暮らしであっても窮屈ではない、適度な距離感をもった居場所同士(居室同士)の関係の構築を図りました。
このようにして、住まう人(建て主)の特性と、住まう場(土地)の特性の関係を、建築設計という視点で紐解いていくことで、新しいひとつの家が生まれました。

トモイさん、大変でしたがやりがいのある仕事をさせて頂きましてありがとうございます。

(家づくりの経緯のディテールや建築空間のディテールを更に書き切ろうとしますと文章が長くなってしまいますのでこの辺りで。これ以上のご興味がある方はどうぞお問い合わせください。)
もどる