茨城県日立市に建つヘアサロン・Ten to Sen。建築・家具・庭の設計施工を、暮らし図が担当しました。
Ten to Sen は、店主の和田さんを筆頭に、多くの顧客から支持を集めてきたヘアサロン。もともとは、この新店舗のほど近くにある小さなテナントで営業していましたが、人気の高まりとともに席数やスタッフルームの不足が課題に。
より高い顧客満足の追求や働きやすさの向上を目指して新築移転を計画することになり、候補地が見つかったタイミングで、暮らし図に依頼をしてくれました。

新店舗の計画にあたり、施主から共有されたのは、具体的で細かな要望というよりも、Ten to Sen が大切にしてきた『考え方』でした。
「クリーン・ミニマル・シンプルという Ten to Sen の理念を、空間として体現してほしいんだ」
「たとえば東京では成立しにくい、地方の土地や風土だからこそできる店舗のあり方を考えてほしい。庭ができたらなぁ」
「お客様の喜びはもちろん、スタッフが自ずと活躍したくなる“場”をつくってほしい」
「お客様用ロッカー、施術ワゴン、ドライヤーまで含め、収納を美しくて実用的にしたい」
そして最後に、
「概ねの要望は伝えたので、あとは建築のプロにおまかせしたい。まかせたからこその提案を期待したい。あえてプロに頼むのだから、細かいことも全ておまかせしたい」
という言葉を授かりました。

何度も対話を重ねながら、こうしたTen to Senの『考え方』を丁寧に確認・発展させながら、設計を進めていきました。

そうして完成した Ten to Sen は「庭と室内が、自然体でつながるヘアサロン」です。
余白や空気感を大切にしながら、ミニマル・クリーン・シンプルというTen to Senの理念が、外観にも室内にも素直に表れています。
むやみに飾り付けず、恣意に偏りすぎない、自然で必然な建築。

専門的には技巧的な設計テクニックを多く駆使していますが、結果的な体験はあくまでも自然体に。
ありのままで心地よい、そんな自然で必然な建築のデザインを図りました。
オシャレで理念的で、かつ、そんな姿勢をお客様に支持されている「Ten to Sen」であることの必然さをもった建築です。

「街の小さな公園」のような庭 = Ten to Sen Garden。
この街に誕生した「街の風景をつくる庭」です。キッチンカーがやってくることも。

庭には大きな庇を設えたエントランステラスが寄り添います。この店舗のためのオリジナル造作です。
樹木の間を潜り抜けるように、曲がりくねった踏み石のアプローチが、お客様をゆったりとエントランスへと導きます。

造作の大庇と大窓が、庭と室内を一体的につなげます。
ミニマルでありながらも優しい印象をもたらすことを目指しました。

↑室内全景:写真左奥がエントランス
造作家具同士の間に、幾つもの”空間の抜け”であったり”空間の隙間”を設けました。それが「動線」や「余白」となるシンプルな空間構成です。

↑エントランスから待合スペースを見通す。総漆喰塗りのニュートラルな建築空間に対比するように、家具や飾り物の彩りが程よく緊張感を和らげます。
向かって右は、ロッカー収納とディスプレイを兼ねた造作家具。

↑室内空間は、幾つもの「四角い木の家具(造作家具)」が分散的に配置された、クリーンで行き止まりのない空間です。
造作家具が、余白たっぷりの空間をゆるやかに分節しています。

↑この空間では、”人”は座っている時、造作家具によって仕切られ、安心感を感じます。一方、立つと空間をワンルーム上に眺めら広々と感じます。
造作家具は、単に収納ができるだけではなく、”人”の視線の遮りや距離感をコントロールする「仕切り」と見立てることで、”人”の居心地そのものに寄与できるように設計しました。

↑行き止まりのない動線は空間を美しくする「余白」でもあります。手前がエントランス。奥がシャンプースペース。

↑この建築では、”人”は椅子に座ったりシャンプー台に身を預けると、同時に、自身のまわりの造作家具に身体を囲い込まれます。これが、別ゾーンからの視線を程よく遮断する効果をもたらします。
この時、”人”は、どこか半個室的な落ち着いた居心地を感じ得ることができます。

↑シャンプースペースより立って、室内全景を見通す

↑シャンプースペースより座ってみる。造作家具によって仕切られる。

↑カラー調合カウンターをみる。窓はスクリーンを貼った造作建具。
光を拡散させつつ、アルミサッシを隠している。

↑壁と天井は全て漆喰塗り。部分的に天窓を設けて、自然光を補っている。
正面奥はトイレ。向かって左はスタッフルーム。
右奥にシャンプースペースが位置するが、ワゴン収納のための造作家具によって適度に見え隠れさせている

↑カラー調合カウンター。手元は実用的にステンレスカウンターにしつつ、造作の吊り戸棚はお客様の視線も受けるため、店内のインテリアと同調させたデザインに。

↑カラー調合カウンターより庭をみる。造作家具同士の隙間から庭が見える。

↑トイレ出入り口の建具ディティール

↑トイレ出入り口の照明ディティール

↑トイレ1

↑トイレ2

↑造作カウンターのディティール。造作のディティールにも「ミニマル・クリーン・シンプル」の理念を体現している。

↑レセプション

↑待合テーブルも、建築に合わせて造作のオリジナルを設計。
椅子は、空間が気難しくなりすぎないように、親しみをもたらすコーディネートをしました。


– Lighting –

– More Detail –



-Process-


Ten to Sen 店主・和田さんがブログに綴ってくださった建築評もぜひ>こちらから
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Ten to Sen
[ヘアサロン]
茨城県日立市
HP:https://tentosen-hair.com/
Instagram:https://www.instagram.com/tentosen.hair/