那珂市で長年愛されてきた洋食店「レストラン・キャロッツ」。

常陸牛のハンバーグやステーキを看板メニューに、“ちょっとした記念日”や“ちょっとした贅沢な食事”の場として選ばれてきたお店です。

その客席空間のリノベーションを、暮らし図が担当しました。

 

-要望と課題-

施主から求められた改修の主題は、店舗の約半分を占めていた畳敷きの座敷空間でした。

時代のニーズとして、当時は主流であった宴会や法事の利用は少なくなり、畳の空間で食事をするスタイルよりも、もっとカジュアルモダンな空間の席数を増やすことが、改修の主な動機でした。

空間の在り方そのものを見直す時期を迎えていました。

また、長年の営業を経て、床のたわみや内装の経年劣化が目立ってきていました。

店舗空間を物理的に改修することは、店舗のブランドイメージをも改修することを意味します。

つまり、ブランドイメージ面と物理面の双方をリニューアルすることが、プロジェクト上の重要な課題でした。

現存していた畳・襖・床間・押入れ等をリセットし、新たなデザインを構築。

このレストランの特徴である“ちょっとした記念日”、“ちょっとした贅沢”の食事のシーンにさらに馴染みがよい空間を目指しました。

施主からは「50年前にあってもおかしくないし、50年後にあってもおかしくない、そんな”タイムレス”な印象を宿した空間をお願いしたい」との要望の言葉を授かりました。

-解決のデザイン1-

使い方を「固定しない」
フレキシブルな客席配置

実用面の主な要望は、「2部屋化」「32脚の椅子」「8台のテーブル」といった事柄を実現することでした。

かつ、2人席から最大12人の団体席まで対応できるように、テーブルを動かして配置変更できるフレキシビリティ(柔軟性・可変性)を備えることは重要な実用上のご要望でした。

テーブルや椅子を動かしても、「仮設的」「間に合わせ」に見えないことを前提に、テーブルのサイズや位置、そして歩行動線を設計しています。

 

-解決のデザイン2-

「水平面」の一体感

床は下地を含めて貼り替えを行い、アピトン無垢材のフローリング仕上げとしました。

ジューシーな料理の世界観とも相性の良い深みのある赤茶色の印象を床で表現しました。

 

また、客席テーブルをオリジナルで設計・造作し、床の赤茶色の印象をテーブルにも反映させました。

 

そして、天井にも赤茶色のキーカラーを応用し、ぬめっとした革のようなテクスチャが印象的な塗り天井を仕上げました。

 

このように、床面・テーブル面・天井面という空間に現れる「水平面」を、赤茶色の仕上げで共通的にまとめることで、すっきりと心地よい、それでいて味わい深い、そんな「水平面」をデザインしました。

空間に落ち着きと一体感をもたせています。

-解決のデザイン3-

「垂直面」は引き立つ背景

 

一方、全ての壁は「垂直面」としてグレー色の共通性でまとまりをもたせています。

既存部分であった荒々しいコンクリートを壁の基調として生かしています。

そして、新設した間仕切り壁を木毛繊維セメント板で仕上げることで、基調のコンクリート壁のブルータルでグレー色の印象を反映しました。

 

派手さではなく、料理や人の気配が引き立つ「背景」としての垂直面を目指しています。

荒々しい味わい深さをもちつつも汚らしくない、そのような空間印象を獲得できるのではないかと考えました。

-解決のデザイン4-

様々な造作の在り方

個室利用に対応する間仕切り引き戸

 光をやわらかく取り込むラタン貼りスクリーン

 客席構成に応じて移動できるパーティション家具

 

これらはすべて、空間と一体で設計・造作しました。

-結果-

日常使いから記念日利用まで、自然に馴染む客席

人数が変わっても、空間の印象が揺らがないこと

流行に寄りすぎず、長く使い続けられるデザイン

 

フレキシブルな実用性と、時代に左右されないタイムレスな佇まい。

 

これからも続いていくレストラン・キャロッツの時間に寄り添うための、客席リノベーションです。

 

 

 

-プロセス-

設計検討時のイメージCG