フクさんのレストランと家 桜並木沿いの「レストランと家」

フクさんご夫婦との「お見合い期間(土地探し・建築事前相談)」中に、とある自然公園の桜並木に面した候補地が浮上しました。そんな風土・土地環境に根ざしたレストラン(1階)および家(主に2階)の案です。

 

「桜並木の窓」と「シェフの実験所のようなオープンキッチン」に両挟みされるような客席の案。実はオープンキッチン自体を桜の幹の色・質感にして、室内世界と室外世界を空間的に同期させると良いのでは?などと考えたりしながら描きました。

そして、そんな実験キッチンの机上で生まれる彩り溢れる料理に想いを馳せて。…ていうか食べたい。

テロワールという言葉は、ワインや食材等の産地特徴・産地の個性という意味で使われる、とりわけ食文化をめぐる言葉という先入観が私コイブチにはありました。で、ご相談者のシェフがこの案を見てくれた時に「(この案はまるで)土地のテロワールに根ざした建築」という表現をしてくれて、私は少し身震いしました。何と素晴らしいレトリック。

その土地だからこその建築。その建築だからこそのレストラン。そのレストランだからこその食体験。

このシェフは自身の食の哲学を表現するにふさわしい土地を探しています。この案はそんな最中に浮上した一つの候補地の「たとえばプラン」。

私たち暮らし図は、また新たな候補地が浮上すれば、シェフの未だ見ぬ新しいレストランの姿を描いていこうと思っています。土地のテロワールに根ざした建築の姿を。そしてその内に、これだ!という土地に・これだ!という建築の実現の力添えをしたい。(比較検討の末、実現案がこの案となっても最高です)

私たち暮らし図の土地探しサポートや建築構想は概ねそのような仕方です。

「土地のテロワールに根ざした建築」。良い言葉だなぁ。うっとりしてしまいます。

 

文・鯉渕健太