ヨコダテさんの家 ホームラウンジルーム

ヨコダテさんの家の1階にはホームラウンジルームと名付けた空間があります。

”仕事をしたり” ”応接に用いたり” ”寛いだり” ”服をはじめとしたコレクションを嗜んだり” を担う多用途空間です。

「家の一部に、仕事をするための空間/お打ち合わせ相手を招く空間/服などのコレクションを愉悦的に保管できる空間をつくってほしい」というようなご要望を設計初期より伺っていました。

では、それら空間をどのように実現するのが良いだろう?これら諸要素をより良くシンプルに空間解決できるプランとは?

そんなテーマから、幾つかの案づくりやお打ち合わせを重ね、結果、このような「ワンルーム・マルチユース」な”ホームラウンジルーム”の空間が生まれていきました。

ホームラウンジルームは、第2のリビングのような「過ごす空間」でありながら、また一方で、1階ホールと2階LDKをつなげる「動線空間」をも兼ねています。「兼ねる」ことで、いわゆる単なる廊下的な面積を排し、細々とした間仕切り壁も排し、その分、全体的に光や風がおおらかに行き渡る、ホームサイズながらも広々としたラウンジのような部屋となりました。家の中にあるラウンジ部屋だから、”ホームラウンジルーム”です。

もしも、廊下・打ち合わせ専用の部屋・コクレクション専用の部屋といった3要素を、文字通りにそれぞれ別の部屋に切り分け何枚もの壁で間仕切りをしたとするならば、決して実現し得ない「広さ・明るさ・柔軟さ」を備えた空間構成です。

とはいえ、在宅仕事の仕方を臨機応変に選択できるように、籠ることができる小さな仕事部屋= ”スモールオフィスルーム” をホームラウンジルームの隣に併設するプランとしました。(小さくとも2つ目の仕事部屋を、というのもご要望として伺っていました)

↑移動空間でありながらも様々な家具を置きやすい部屋となるよう、家具の置き方と出入り位置や動線を加味して部屋のサイズや構成を設計しました。写真正面の鏡貼り壁の左側は玄関ホールへ。鏡貼り壁の右側は収納室へ。

↑飾る服はホームラウンジの壁面に沿って展示的に収納。(一方、仕舞う服は2階のウォークインクローゼットに)
また、写真右の掃き出し窓から庭に面した三角テラスへと出入りができます。

↑ホームラウンジに隣り合うスモーオフィスルームから見る。室内窓の引き戸によって、両室をつなげたり隔てたりすることができる関係です。室内窓の引き戸を開け放っていると、ホームラウンジ奥の屋外に面する窓の明るさをも感じられるように設計しました。つまり、室内窓と屋外窓の位置が印象的に対面となるように図らいました。

↑ホームラウンジルームから隣り合うスモールオフィスルームを見る。室内窓を介して部屋同士がつながり合う状態には、どこか空間特有の愉しさや嗜みを感じます。

↑階段はスチールと木のハイブリッドです。木の踏み板は家具的な佇まいとなるよう、本来は家具造作のディティールであるテーパー加工(先端が斜めのフォルム)を施しています。こういったディティールをデリケートに設計することで、空間の佇まいの整序を図っています。北欧ヴィンテージ家具を何点も愛用なさっているヨコダテさんの居住空間だからこそ、階段の形状や樹種にも家具的な印象を求めました。居住空間学。

↑階段を上がり2階LDKへ。軽やかな階段手すりを介して、1階の室内風景を眺められます。鏡貼り壁の左側の引き戸は玄関ホールへ。鏡貼り壁の右側の引き戸は収納室へ。尚、鏡貼り壁の手前に椅子がそっと配置されている室内風景は、設計中にもありありとイメージしながら、この家をつくっていきました。

↑2階LDKから1階を見下ろしています。1階のホームラウンジルームとスモーオフィスルームの間に位置する室内窓を通じて、スモールオフィスルームが2階からも垣間見えます。

↑ホームラウンジから玄関ホールへ。玄関ホールの一角に位置する手洗家具が引き戸の向こうに垣間見えています。

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