ヨコダテさんの家 HOME & HOME LOUNGE
ヨコダテ(仮名)さんの家。建築・家具・庭の設計施工を手がけさせて頂きました。建設地はつくば市です。
住宅街であっても自然風景をより良く眺められるように設計した家です。2階インナーテラスや2階LDKは、最良の借景方向(隣地の農園)を見渡すことができるように設計しました。庭の樹木もインナーテラスを包み込むように植え添えました。
2階のインナーテラスは半屋外リビングのような空間です。建築の中に潜り込むような構成となっています。”中に潜り込む外部”という特徴から「なかそと(中・外)」と呼びながら設計しました。「なかそと」のネーミングはヨコダテさん奥様の発案であり、「なかそと」の実現の要望を設計初期より頂いていました。なかそと、実現しましたね。
“L”のカタチをした家です。眺望という行為を日常的に・存分に・気兼ねなく愉しめるよう、周囲や道路から大きな窓やテラスが覗かれにくい設計を考えました。L字型平面形の家とし、全ての大きな窓をL字型の入隅に集約させた家です。
1階には「ホームラウンジ」と名付けた空間を設計しました。”仕事をしたり”、”応接に用いたり”、”寛いだり”を担う多用途空間です。
また、ホームラウンジの隣室にはスモールオフィスルームがあります。両室は階段の横に位置する開閉できる室内窓を通じ、時につながり・時に仕切られる関係です。
部屋、家具、テラス、庭の樹木、遠くに眺める自然風景、身を置く室内の居住空間。そんな諸関係の連鎖からこそ生まれる有機的な居心地をつくりたいと思案し設計しました。
この家に住まうヨコダテさんご家族が、この家と共に平穏かつ愉しく暮らしていくことを、この家の作り手として願っています。
・
・
・
↑木製の玄関ドア、ハンドルは真鍮製。郵便ポストは外壁に埋め込んでいます。郵便物は室内のシューズクローゼット室へ。
↑エントランスと道路の間の植え込み。外壁は薄グレー色のザラっとした塗り壁。玄関ドア横の小窓(トイレ)には、木製の造作格子を設えて防犯性と佇まいを図りました。
↑玄関〜ホール〜スモールオフィルームのつながり。更に、その奥の南側の庭へとつながる、気持ちの良い”通し空間”です。
↑玄関の横にシューズクローゼット室。壁は砂漆喰塗り。床はイタリアンタイル。
↑1階ホール。正面にスモールオフィスルーム。右側にシューズクローゼット室。左側へ行くと手洗いの方向へ。
↑ホールの一角に手洗い。手洗いは設備設備した存在というよりも、木製キャビネット的な佇まいが相応しいと思案しました。そうして、この手洗つくりつけ家具を設計しました。右側の引き戸はホームラウンジへ。
↑1階ホームラウンジからホールを見る。手洗いの横の引き戸はトイレへ。
↑1階ホームラウンジからホールを見る。透明引き戸の先に手洗いが見えます。ヨコダテ家の愛猫。
↑ホームラウンジ。正面の鏡壁の右側の引き戸は収納室へ。鏡壁の左側の引き戸はホールへ。階段を上がるとLDK。壁も天井も砂漆喰塗りです。
↑ホームラウンジは1階ホールから2階LDKへの動線(廊下)も兼ねています。「兼ねる」ことで、いわゆる単なる廊下的な面積を小さくできました。その分、より広々としたホームラウンジ面積の割り当てを実現しました。ホームラウンジは庭へも出入りできます。
↑ホームラウンジから室内窓を介してスモールオフィスルームを見る
↑スモールオフィスルームから室内窓を介してホームラウンジを見る。奥にホームラウンジのハイサイド窓が見えます。室内窓は両室に光や風をより行き渡らせる仕掛けでもあります。
↑2階LDK。階段横の室内窓の引き戸を開いていると、1階のスモールオフィスルームが垣間見えます。
↑階段からホームラウンジを見る。日常の暮らしの場にこういうアングルがあるって、実に愉しいです。
↑2階LDK。家具の配置やサイズを検証し、リビングダイニングに柱が立たない構造設計としました。かつ、外壁全方向に長い軒を出す屋根とするため、2階LDKを立体トラスという構造形式としています。そういった構造もあって、この室内天井の形態が生み出されています。浮いた屋根(天井)の下に居るような何とも言えない居心地を宿します。構造美。壁も天井も本漆喰塗りです。
↑2階LDKとインナーテラス。この土地の最良の借景方向を眺められます。本当に気持ちが良いんです。
↑キッチンの配膳窓は、実は隠し引き戸が備わっており開閉ができます。「時には、こもる事もできるキッチンを」というのがヨコダテさん奥様のご相談の1つでした。戸を閉じるとクローズドなキッチンになります。こもれます。
↑キッチンの配膳窓から覗く室内風景と借景風景の連続が、なんとも愉しい家です。
↑2階LDKから廊下へ。透明ドア横のラタン貼り収納扉は、実は、その裏側にあるミニパントリー棚や冷蔵庫を隠す役割も担っています。だからこの位置なんです。
↑2階廊下。正面の透明ドアの右手にはインナーテラスに面した掃き出し窓があり、廊下にも光や風をもたらします。透明ドアの左手には洗面・脱衣室やトイレ。他に、ウォークインクローゼットや家事室兼スタディルームへの引き戸も、この廊下に整って並んでいます。
↑2階廊下から左手の寝室へ入る。右手にはこども部屋が2室あります。廊下の突き当たりは、ボカシガラスのサッシ窓+レース布地を貼り込んだ木製窓戸です。この木製窓戸は白色の染色を施し、本漆喰の壁天井に印象を溶け込ませています。ところで、廊下の突き当たり部分の天井が実はカーブしていることにお気づきになりましたか?この天井のカーブが、漆喰に反射する外光をより柔らかく空間に拡散させています。
↑2階廊下から寝室を見る。寝室は、この家の最も奥の位置、つまり、もっとも静かな位置に計画しました。
↑2階寝室。木製の遮蔽戸と砂漆喰の塗り壁で構成した「安眠のための部屋」です。
↑2階洗面。つくり付け家具の造作洗面台を設計しました。カウンターとボウルには継ぎ目がないので清掃が楽。鏡部分は開閉収納です。
↑2階洗面。インナーテラスが洗面の鏡に映り込みます。2階洗面を振り向くと、廊下をまたぎ、すぐの位置にインナーテラスがあります。
↑2階インナーテラス。右側の窓は家事室兼スタディルームです。「物干しもできるインナーテラス」「洗濯物を取り込める家事室」「洗面や脱衣室」。それらを近接させ、コンパクトな家事動線を設計しました。